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相続した土地を国がもらってくれるって本当??

おはようございます!こんにちは!こんばんは!

岐阜県の司法書士・行政書士のこんちゃん先生こと、近藤です!

徐々に暖かくなってきましたね!季節の変わり目は急な気温や天候の変化に体が慣れていないので体調管理は万全に!!

体調崩してるとお花見とか、新年度のスタートとか乗り遅れちゃいますよ(笑)

 

さて、今日は新たな相続に関する制度のお話!!

「相続?制度?こんちゃんまた、難しい話なんじゃないのーーー??」と思いますよね??

はい!新しい制度が始まるということは、新しい法律ができたということです。

つまり、難しい話です!!でも、待ってください!!だからこそ、僕たち専門家が役に立ってくるんですよ!!

 

今回は、令和5年4月27日からスタートする「相続土地国庫帰属法」のお話です。

簡単に言ってしまえば、「相続により」取得した「土地」「相続人の申請」によって、「国に帰属させる」制度になります。

言い換えるなら、相続した土地を国に引き渡す制度です。※申請後に承認が得られると、負担金の納付が必要です。

もちろん、相続した土地であれば、どんな土地であっても引き取ってくれるわけではありません・・・(ここが一番難しい・・・)

この制度も、相続登記・住所変更登記の義務化と共に、所有者不明土地を解消するための政策の一つとして誕生したものになります。

では、具体的に中身を見てみましょう!!

Q1.そもそも、どんな人が利用できる制度なのですか??

相続土地国庫帰属法第2条第1項では、「相続等により土地の所有権の全部又は一部を取得した者」となっています。

「相続等」とは遺産分割はもちろん、遺言による遺贈も含まれます。ただし、遺言に関しては相続人に対しての遺贈に限られます。

一方で、所有権の一部つまり、持分を取得した場合は、土地の共有者の全員が申請人にならなければなりません。

(共有者のうち1人が相続等により持分を取得した者であれば良いです。)

 

Q2.どんな土地なら制度を利用できるのだろうか(申請の対象にならない土地とは)

相続土地国庫帰属法第2条第3項には申請できない土地が列挙されています。

1.建物が存する土地 →土地の上に建物が建っている場合

※建物は取壊し済みでも建物登記が残っているときは、建物滅失登記後の申請となります。

 

2.担保権又は使用収益権が設定されている土地 → 抵当権、根抵当権、不動産質権、地上権、永小作権、賃借権、地役権、採石権、入会権等が設定されている                      

※森林については、森林組合への委託契約が締結されている場合、経営管理権(森林経営管理法第2条第4項の経営管理権)が設定されている場合も含まれます。

 

3.通路その他の他人による使用が予定される土地として政令で定めるものが含まれる土地

具体的には

・現在、通路として使用されている土地

・墓地内の土地(墓地として都道府県知事の許可を受けた区域内の土地)

・境内地(宗教法人法第3条に規定する境内地) ※宗教法人の所有でない土地も含まれます。

・現在、水道用地として使用されている土地 ※専ら給水の目的で敷設する水道の水源地、貯水池などに使用されている土地です。

・現在、用悪水路として使用されている土地 ※かんがい用、悪水はいせつ用の水路として使用されている土地です。(生活用水、農業用水、工業用水のための水路を含む)

・現在、ため池として使われている土地 ※水を貯え取水できるように、人工的に造成された池として使用されている土地です。(耕地かんがい用、防災用の用水貯留地など)

 

4.土壌汚染対策法第2条第1項に規定する有害物質により汚染されている土地

特定有害物質により土壌汚染がされている土地です。土壌汚染対策法施行規則第31条第1項、第2項の基準を超える特定有害物質に汚染されている土地

 

5.境界が明らかでない土地その他の所有権の存否、帰属又は範囲について争いがある土地

逆に、境界が明らかな土地とは以下の➀、②を満たしている土地(測量の実施、境界確認書の提出までは要求されません。)

➀申請者が認識している隣接地との境界が表示されていること

②申請者が認識している申請土地の境界につき、隣接地所有者の認識している境界と相違がなく、争いがないこと

 

Q3.では、Q2の申請できない土地でなければ、大丈夫ですか?

申請できない土地に該当しなくても、審査段階で該当すると判断された場合は、「不承認」となり国庫帰属できません。

具体的には、

1.崖(勾配が30度以上で、かつ、高さが5m以上)がある土地で、通常の管理に過分の費用・労力が必要となる場合

※過分な費用・労力とは

 住民の生命等への被害、隣地への土砂流入などの可能性があり、擁壁工事の実施の必要が客観的に判断できる場合などです。

 

2.土地の管理・処分を阻害する工作物、車両又は樹木その他有体物が存在する土地

※樹木があるからと言って必ずしも管理・処分を阻害するとは限りませんが、ケースバイケースになります。

有体物の例として

・果樹園の樹木

・民家、公道、線路等の付近に存在し、放置により倒木や枝等の落下による災害防止のため定期的な伐採・剪定を要する樹木

・放置により隣地への侵入や森林の公益機能を損なう恐れがあり定期的な伐採を要する竹

・過去に治山事業等で施工した工作物のうち、補修等を要するもの

・建物に該当しない廃屋

・放置車両

 

3.除去しなければ土地の通常の管理・処分ができない有体物が地下に存在する土地

有体物の例として

・産業廃棄物

・屋根瓦などの建築資材(いわゆるガラ)

・地下にある既存建物の基礎部分やコンクリート片

・水道管、浄化槽、井戸

・大きな石

 

4.通常の管理・処分に過分な費用・労力を要する土地

・災害の危険があり、土地や土地周辺の人や財産に被害が生じるおそれを防止するための措置が必要な土地

※土砂災害防止のため保護工事を要する場合、大きな陥没の埋立工事が必要な場合、大量の漏水があり排水ポンプ設置等の排水設備工事を要する場合などが考えられます。

・土地に生息する動物により土地や土地周辺の人、農作物、樹木に被害が生じる土地

※土地にヒグマやスズメバチなどが生息している場合が考えられます。(生息数や危険性の低さから通常の管理の範囲である場合は承認される場合がります。)

・国による整備(造林、間伐、保育)が必要な森林

※間伐実施が確認できない人工林や一定の生育段階に至るまで更新補助作業が生じる可能性のある標準伐伐期齢に達していない天然林などが考えられます。

・帰属後に国の管理費用以外の金銭債務を法令により負担する土地

※土地改良事業の施行地域内の土地所有者に、将来、土地改良法第36条第1項により金銭が賦課されることが確実な場合が考えられます。

・帰属に伴い、法令により申請者の金銭債務が国に承継される土地

※土地改良法第36条第1項により土地所有者(組合員)に金銭債務が賦課されている場合(土地改良区に賦課金を支払っている場合など)

→土地改良法第42条第1項により、この金銭債務は土地の所有権を取得した者に承継されるため、国庫帰属された場合、国が債務を負うことになるため不承認となります。

 但し、審査完了までに金銭債務が消滅している場合は、該当しないこともあります。

 

Q4.実際に実際にどうやって申請するのだろうか・・・

申請書に添付書面を付けて、窓口又は郵送(書留かレターパックプラス)にておこないます。

申請人は、所有者本人若しくはその法定代理人(未成年後見人、成年後見人等)に限られます。任意代理人による申請は現在、認められておりません。

審査手数料は、土地1筆あたり1万4,000円です。

※納付後は、申請を取り下げても、審査により申請が却下・不承認となっても返還されません。

 

Q5 .申請書を自分で作らなきゃいけないのか・・・誰かに頼めないのかな

ご安心ください。弁護士、司法書士、行政書士は、申請書類の作成代行が可能です。

ただし、あくまでも書類作成の代行ですので、申請者は所有者本人となります。(万が一、書類に不備があり訂正が必要な場合は、所有者が行う必要があるでしょう。)

使者による提出は可能ですので、弁護士、司法書士、行政書士に書類作成を依頼すれば、提出もお願いできると思います。

 

Q6.申請出したのに、全然結果の連絡がないのだけど・・・・

標準処理期間は半年から1年となっていますが、天候の影響等で現地調査実施に遅れが出た場合は、結果の通知が処理期間から超過することもあります。

 

Q 7.承認の通知と一緒に負担金の納付通知も届いたけど・・・

残念ながら、タダで引き取ってくれるわけではありません・・・。原則として1筆あたり20万円(10年分の管理費用相当額)です。

ただし、宅地、農地、森林など申請土地によっては面積に応じた算出がされる場合も有ります。また、隣接する2筆以上の土地について申請を行う場合にいずれも同一の土地区分である場合は、1筆の土地として負担金の算定が可能です。

そして、負担金の納付通知を受けてから30日以内に負担金を納付しないと、国庫帰属の承認は失効してしまいます。

失効してしまった場合は、最初から申請をする必要がありますのでご注意ください。

 

以上となります。

新しく始まった制度であり、今後の動向を注視する必要がありますが、相続土地の管理負担の軽減に繋がればと願うばかりです。

新しい制度故に、申請に携わる側も、申請を受ける側もこれから様々なケースに遭遇すると思います。

私も、情報収集を怠らずに皆様のご依頼に応えられるよう、努めていきます!!

 

今回お話しした制度のことはもちろん、相続や遺言の作成・執行など当事務所では幅広く相談対応させて頂きます。

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